
渡辺のり子

1.出身地 福島県
2.最終学歴 多摩美術大学 テキスタイルデザイン科
3.主な職歴、画歴 テキスタイル、印刷物などのデザインの仕事を経てきましたが、現在もデザ インの仕事をしながら絵を描いています。
4.主な実績 日本ワイルドライフアート協会に所属し、生き物をテーマにしたグループ展
などで作品を発表しています。
5.所属団体等 日本ワイルドライフアート協会会員
アーティストステイトメンツ
1.ワイルドライフアートを始めたきっかけ、動機等
子供の頃から、自然の中の小さな生き物の美しさに惹かれていました。
花にとまって一心に蜜を吸っているアゲハチョウを見て、誰がこんなに美しい模様を考えたのか不思議に思った事を覚えています。また、貝殻の波のような曲線や、虹色の輝きにも惹き付けられました。自然の造形物には、到底人間の作り出せない崇高な美しさがあると思います。
ものを作ったり絵を描いたりすることが好きだったので、美大に進学しました。就職してからは、しばらく描く事から離れていましたが、ふとしたことから細密画を習い始め、今まで美しいと思ってきたものを絵にしたいと思うようになりました。
2.制作、あるいは表現に対するポリシー、哲学、もしくはコンセプト等
標本や貝殻などのモチーフを目の前に置いてよく観察し、ありのままの色や形をそのまま写すことを心がけています。制作には時間がかかりますが、観察しながら少しずつ描き進めていると、初めは見えなかった美しさが徐々に見えてくることがあります。それは別の世界が開けてくるような感動です。
また、それらの小さな生き物がどんな一生を送って、今、自分の目の前にいるのかを想像することもあります。できることなら、絵の中で生命を感じさせるように描いてみたいと思っています。
3.使用画材(材料、材質)の紹介、表現技法についての考え、ポリシー等
透明水彩絵具を使い、極細目の水彩紙に描いています。穂先が5ミリほどの細い筆を使い、少しずつ色を重ねていきます。普段使う絵具は6〜7色ほどで、白は使わず、紙の白を活かしています。
4.ワイルドライフアートの未来と今後の制作についての考え(夢、抱負など)
私の描いているものは昆虫や貝殻などの小さな生き物、またはそれらが生きた証ですが、どれも完成された素晴らしい美しさを持っています。一つ一つが健やかに輝いているように見えます。それは、長い時間をかけて、生き物が「生きよう」とする方向に進んできたからだと思います。
それらのものから受けた感動を、他の人にも伝わる形で表現したいと思っています。
そして可能であれば、それを生み出した自然に目を向けてもらうことができたら、とても嬉しいことです。
5.好きな作家 影響を受けた作家
ムンク――愛や不安など、人間の根源的な感情を絵にしているところに惹かれます。
シャルダン――特に静物画が好きです。花瓶や水差しなどのモチーフに、まるで人間がそこにいるかのような強い存在感と、素朴な温かさを感じます。
ビアトリクス・ポター ――「ピーター・ラビット」などの絵本の仕事をする以前にキノコの研究もしており、キノコやコケの素晴らしい博物画を残しています。 冷静な観察力と自然に対する温かい眼差しを併せ持つ、素晴らしい作家だと思います。